『わが町を知ってもらうなら! 北海道の図書館員が薦めるブックガイド』

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『わが町を知ってもらうなら! 北海道の図書館員が薦めるブックガイド』
(野口武悟、青木竜馬(監修) 加藤重男(編著) 中西出版 2023)

都内かどこかのジュンク堂の図書館学の棚で見かけて、面白そう!と思ってとりあえず図書館で借りた。
中西出版は北海道は札幌の出版社。編著の加藤さんが「クルマではなく、汽車とバスとまれに飛行機、船を使い、北海道中の図書館を訪ね、聞き書きし」(p3)まとめた本。(ちなみに監修は読書バリアフリーなどがご専門の野口先生。)
道内全179市町村(多くて驚く)に「わが町を知ってもらうなら」と本の紹介をするアンケートを取り、170市町村から回答を得たそうで、ブックガイドとインタビューが組み合わさった本になっている。
なかなか編集のご苦労がしのばれる感じで、市町村によってすすめてくる本がまちまち、解題の書きぶりもまちまち。でもそれも味わい深い。恐らくものすごくローカルな人物や食文化について特にフォローもなく話題にしてくるところもあれば(郷土出版の本などこの本で見なかったら知る縁がなかったのでほんとに貴重だけど欲を言えばもっとそれが何なのかを知りたい)、町勢要覧をすすめてくるところもある。広報紙を出してくる市町村は、それなりに特色がありそう。
巻末の編集後記に「最初は「ウチの町には何もそのような書物はない」と言われた図書館員も、熟考を重ねてご回答いただきました」(p202)とある。ちなみに、『多様化の時代に対応できる図書館を目指して』(北海道図書館振興協議会 2021年3月)の「第4章 表とグラフに見る道内の公立図書館(室)」(PDF)によれば、北海道の市町村の図書館設置状況は、令和2年4月時点で58.7%(=179のうち74の自治体に、図書館が設置されていない)とのことなので、状況は本当にいろいろなんだろうなと思う。

交通アクセスの話題になると、案外駅近くにあるという説明の図書館も多い。でもその中にも、近年廃線になったとか、今後廃線になる予定とかいうところもあった。路線があるうちに、この本も参照しながら行ってみたい。それにしても北海道は広いので、どこからどう行くか迷うけど。