ぐるっとパス2024の成果

今年も前半が終わろうとしている…! 4月から6月にかけてぐるっとパスを使ったので簡単な記録。

■八王子夢美術館

「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」※入場
作品をたくさん見られてよかった。絶筆は平泉金色堂の冬景色を描いた作品なのですが、バージョン違いというか、元にしているのが同じ構図の同じ場所の夏の夜を描いた作品で、そちらも素敵だった。夜空にひとつ目立つ星があるの。
冬の作品(絶筆)【アートの扉】川瀬巴水「平泉金色堂」人生の旅路、踏みしめ - アートの森
夏の作品(元の作品)川瀬巴水 日本風景集 東日本篇 平泉中尊寺金色堂 昭和十年 (Primary Title) – (2011.445) – Collections

生前のスティーブ・ジョブズが巴水の作品を愛好していたということで、なぜか「ジョブズが持っていた作品(と同一の収蔵品)」のコーナーがあったのだけど、近くの土地の風景を描いた作品があったので、ジョブズと話すとき(?)には「あの作品の地元です」と説明すれば通じちゃうんだなと思った(??)。

静嘉堂文庫美術館

「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」※割引
行きたかったやつです。
個人的な見どころはやはり「武四郎涅槃図」。武四郎の持ってたコレクションが描きこまれて(暁斎が度々注文付けられて)いるのだけど、涅槃図そのものだけでなく実物も展示されていた。
いくらか予習していったのでこれが例の傘! 例の凝革紙製刻み煙草入れ!となった。大首飾りがいくらなんでも大きすぎて、あんなのをかけて写真撮ってもらうご本人もだいぶ愉快。静嘉堂がこれでポストカードが出してるのもかなり愉快。図録も凝ってて素敵です。
武四郎記念館行きたいなあ、の思いを新たにした。一畳敷が見たいのだ…。

河鍋暁斎「地獄極楽めぐり図」も全面を見たいな、と思った。十代で亡くなってしまった少女の追善のために作った絵で、展示室に置かれていた印刷版(『とことん鑑賞 地獄極楽めぐり図』原寸の80%縮小複製)でちょっと見たら最初に亡くなってしまった場面のすぐ後に仏さまが迎えに来る場面があり、来迎!と思いました。暁斎を「きょうさい」と読むのも、『がいなもん』読んで初めて知った。こんなことから河鍋暁斎に興味を持つことになるとは思わなかったし、暁斎と武四郎それぞれの写真を並べた紙面が強すぎる。

静嘉堂文庫美術館は初めて行ったけど、曜変天目茶碗とミュージアムグッズの曜変天目ぬいぐるみのあるあそこだった。

目黒区美術館

「青山悟 刺繍少年フォーエバー」 ※入場
大学でテキスタイルアートを学んだ作家が、ミシンによる刺繍での創作を選ぶというのが面白いなと思った。いやテキスタイルアートで何が主流なのかはわかってないけど…刺繍は元々、女性の手仕事的なものとして受け止められてきた(手芸とアートの話は去年読んでた!)。それを男性作家が、ミシンでやっている。
とはいっても動画で流れている製作風景は地道な作業だった。対比として流れる、コンピューターミシンがウイリアム・モリス(作者の意識はこの辺と繋がっているみたい)の手紙の文面を自動で刺繍していく様(この記事にあるやつ)との対比などを見せられて、機械を使っているけど人間の仕事だな、という風に私は思った。
空の作品がきれいだったな。手仕事ではなかなか行いがたい。

青山悟「東京の朝」(部分)

ウィリアム・モリス『民衆の芸術』(岩波文庫)の刺繍

「8HOURS LABOUR 8HOURS RESERACH 8HOURS REST」(ロバート・オーウェンの言葉)の刺繍


文化学園服飾博物館

「オモシロイフク大図鑑」 ※入場

世界の民族衣装のコレクションから「ながい」「おおきい」「まるい」「たかい」のキーワードに合ったものを展示。韓国の木靴(ナマクシン)が小さな生き物みたいでかわいかった。松島きよえ(清江)という方のスケッチが展示されていてよかった。アジアを旅して民族衣装のコレクションをしたり写真を撮ったりしていた方。
館内撮影禁止だし展示リストも多分ないので感想が書きづらいな…でもコレクションからテーマに合ったものを引き出してきていてすごいと思う。

■WHAT MUSEUM

「感覚する構造 法隆寺から宇宙まで」※入場

パスだけで入場できてまだ見たことのないミュージアムに行ってみよう、と思って選んだ。倉庫業者の寺田倉庫建築関係の展示。法隆寺に始まり、投入堂やさざえ堂の模型があって面白かったけれど、近代建築については、ふーーむという感じで難しかった。構造家という人たちが考案して計算して作っているということを知った。
称名寺の鐘撞堂は、5分の1模型が出ていて面白かった。
関西万博の大屋根も出ていた。

投入堂の模型

さざえ堂の模型


練馬区立美術館

「三島喜美代 未来への記憶」 ※入場

ほとんど何も知らずに見に行ったけれども面白かった。元々は絵の人で、陶芸は見様見真似で初めて、情報をテーマに陶器の「割れる新聞紙」を製作したり、関心がごみに移っていく。社会的なテーマではありつつも、作者本人にとって「面白い」がすごい大きな動機になっていて、楽しそう。会場でインタビュー動画が、10年以上前のと最近のと2本流れていたけど、どちらも大阪の人って感じがあってよかった。
ご高齢とはいってもまだまだ色々なことをやりたいとお元気そうな映像であったので、見に行った後に訃報を聞いて残念に思います。パブリックアートとして各地に(東京にも)作品があるらしく、見に行ってみたい。
ところで三島さんのWikipedia記事は今のところ英語版にしかない。

陶製の「サンキス」ボックス(サンキストではない)

空き缶(陶製)が詰まった屑籠



ちょっと思ったより全然回れなかったな…という反省があるけど、企画展の具合によっては今後もまたぐるっとパス巡りするかもしれない。