都現美「翻訳できない わたしの言葉」

週末に滑り込みで都現美「翻訳できない わたしの言葉」 見てきた。

アイヌや韓国にルーツを持ち、日本語を第一言語に育ったアーティスト、音声日本語を母語として育ち、日本手話を第一言語として生きているアーティスト、重度障害等で言葉や身体表現の難しい人の体の声を聞くワークショップを実践してきた中で自身もALSの診断を受けたアーティスト、滋賀県ブラジル人学校インスタレーション等々。
映像作品が多いのに私が入った時間が遅かったために(3時近く)やや時間が足りなかったけど、主に日本の中の身近にも、こんなに多様な言葉があるという展示だった。私にはアートというより、知りに行った、という感じがあった。ちょうど『アイヌもやもや』を一読したところだったので、言語権!と思いました。

都現美も都の施設なので、今後の都が多様な声を受け入れる場所であってほしい。

展示スペースにいるアーティスト本人もいて、そこで来館者がコミュニケーションを取ったりしていた。私はそのやり取りを見ていて直接やり取りする勇気がなかったけれども、アーティストが心身ともに安全にその場にいられるようにするには信頼関係と努力が必要だな、と感じた。

聴覚過敏への対応や、フィジェットトイ(初めて見た)の貸出、カームダウンスペースもあった。

入口の掲示。聴覚過敏の方のための耳栓と、クールダウンのためのフィジェットトイの貸出を知らせている

一角に設けられたカームダウンスペース

新井英夫さんのスペースで配布されていた和紙を揉んでやわらかくする体験、一枚持って展示を見ながら心地よく揉んでいたら指先が切れたみたいでちょっと血がついてしまった(常に指先が荒れてて切れやすいので根本的に紙を触るのに向いてない)。揉んだ紙も汚してしまった紙も元には戻らなくて、それが自分のものなんだなと思った。でもやわらかくなった和紙の手触りは素敵。